実務ではあまり設定することはありませんが、全くないということもないです。ObjectTrackingに関する設定です。簡単にいうとStaticRoutingのバックアップです。Routingの他にもHSRPの詳細設定の際にも使われたりするようですが、私自身は設定したことがありません。6500のVSSや3750のStack技術などによりHSRPを設定する機会はめっきり減ってしまいました。
一般的な経路の冗長化週報としてダイナミックルーティング+スタティックルーティング(フローティングスタティック)がありますがこれは通常、スタティックルーティング同士であればフロスタは使うことができません。これを可能にかえる技術です。
具体的な冗長化の方法について、特定のIPアドレスに対して特定インターフェイスからpingを打ち続けて応答がある間は本来の経路を通る、応答がなくなれば別経路へと切り替わるということを設定するわけですが実際の設定をみてもらったほうが早いかもしれませなん。
■実際の設定
以下の構成を元に設定してゆきます。下に示す設定はRouterAのものです。
まずIP SLAに関する設定を行います。
ip sla 1 icmp-echo 192.168.0.2 source-ip 192.168.0.1 threshold 10 frequency 10 ip sla schedule 1 life forever start-time now |
icmp-echoで特定IPアドレスにソースIPを指定してpingを打ちます。特定IPアドレスとは本来の経路上のネクストホップアドレスです。thresholdは閾値という意味ですが、10ms以内でないと応答があったとみなさないという意味です。frequencyは10秒ごとにpingを打ち続ける、という意味です。最後にip sla schedudleで今すぐforever(永遠)に実施しますという意味です。
access-list 100 permit icmp any host 192.168.0.2 echo route-map Track permit 10 match ip address 100 set ip next-hop 192.168.0.2 set interface null0 ip local policy route-map Track |
route-mapを使用してこのルータ上から発信するトラフィックを制御します。route-mapは通常、インターフェイスに適用するものですが今回のようにルータ自身から発生するトラフィックの場合、ip local policyを用いて定義します。また、setコマンドが二つありますが、set ip next-hopとset interfaceの場合、set ip next-hopのほうが優先されます。インターフェイスのダウンなどにより192.168.0.2宛に迂回する別経路が存在する場合、迂回経路を通ることが想定されますので、null0にセットしておかないと意図した動作にならない可能性があるため、set inteface null0の設定が必要です。
track 111 ip sla 1 reachability ip route 172.16.200.0 255.255.255.0 192.168.0.2 track111 ip route 172.16.200.0 255.255.255.0 192.168.100.2 200 |
最初に設定したsla 1をトラッキングとして設定しており、これをスタティックルートのオプションに指定しています。192.168.0.2に対してIP Reachbilityである間、192.168.0.2に対するスタティックルートは有効でありますが
UnReachbilityとなってしまった場合、上記の経路は自動的に消滅し、AD200の192.168.100.2の経路が浮かび上がってきます。
これでスタティックルート同士の冗長化が実現されます。
参考URL : http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/100/1006/1006249_obj_track.html